気象庁の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」って何? 予知情報なの?

北海道・三陸沖後発地震注意情報について

北海道・三陸沖後発地震注意情報とは、日本海溝や千島海溝沿いで起こる先発地震発生後の後発地震への注意を呼び掛ける情報です。要は、日本海溝や千島海溝沿いで先に起きた地震の発生により、その後に起こる巨大地震発生の可能性が通常時よりも相対的に高まっていると注意を呼びかける情報です。なので、予知情報として捉えてはいけません(そもそも、現代の科学では地震予知は不可能とされています)。

後発地震とは?

後発地震とは、先に起きた地震の後に起こる規模の大きい地震のことです。主な例は2011年の東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震(M9.0)や1963年の択捉島南東沖地震(M8.5)などが挙がり、前者は本震が発生する約2日前にM7.3の大地震、後者は約18時間前にM7.0の大地震が発生しています。また外国に視点を変えると、世界観測史上最大規模とされる1960年のチリ地震(M9.5)が例として挙がり、本震が発生までの数日間でM8.1・M7.1・M7.8という規模の大きな地震が発生しています。

気象庁ホームページより

大地震の発生確率

過去の地震を分析すると、日本海溝や千島海溝沿いではM7以上の大地震が頻繁に発生する領域ですが、M7以上の地震が発生してから1週間以内にM8以上の地震は100回に1回程度で、M8以上の地震が発生してから1週間以内にM8以上の地震は10回に1回程度とされています。そのため、確率としては非常に低いです。

北海道・三陸沖で想定されている巨大地震とは?

日本海溝や千島海溝では太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んでおり、北海道や三陸沖では、過去に何度もM7~9クラスの大地震に襲われています。実際に、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震や1896年の明治三陸地震、869年の貞観地震など、巨大な津波をもたらす地震が発生しています。

日本海溝沿い

日本海溝沿いでは、最大でM9.1の巨大地震の発生が想定されており、仮にこの規模で発生すると東北や北海道の沿岸では10mを超す津波が発生し、最悪19万9000人の死者を出すとされています。

千島海溝沿い

千島海溝沿いでは、最大M9.3の巨大地震の発生が想定されており、仮にこの規模で発生すると北海道東部を中心にでは20mを超える津波が発生し、最悪10万人という死者を出すとされています。このような規模の地震は300年~400年ほどの周期で発生しているとされており、前回の地震は17世紀であることから、平均発生間隔を考慮すると発生は切迫していると指摘されています。

後発地震注意情報が発表されたら?

南海トラフ臨時情報とは違い、情報が発表されても事前避難は求めることはありません。なので、日ごろからの備えなどの防災意識を普段よりも高めておくことが重要となります。但し、情報が発表されても実際に巨大地震が発生する確率は低く、その後は何も起きずに終わるケースの方が多いです。そのため、地震・津波対策はできる範囲で行っておくのがいいと言えます。