津波とは?
海底から海面までの海水全体が動き、周囲に広がっていく大きな波のことで、波長は数~数百kmにも及びます(高潮などは動くのは海面付近だけで、波長は最大でも数百m程度です)。津波が発生する原因は、「気象以外の現象」であり、大量の水が溜まって場所ならどこでも起こりえます。
津波と普通の波の違いは、気象現象が絡んでいるか・絡んでいないかにあります。つまり、気象現象が絡んでいない海面や湖面の変化である場合は、津波と呼びます。
なお、地震情報によって「地震=津波」と解釈している者が圧倒的に多いですが、上記で説明した通り、気象以外の現象によって発生する海面・湖面の変化であるため、例え地震が発生しなくても津波が発生することもあります。津波の原因は、
- 大地震によって海水全体が持ち上がる
- 大規模噴火による空振等によって海面が変化する
- 海底・湖底地滑りによって大きな波が発生
- 山体崩壊などで発生した大量の土砂が、海や湖などに流れてしまうことで大きな波が発生
等が挙げられます。津波は決して地震だけが原因とは限らないということがこのことからも分かります。
なお、気象庁は、以下の時の場合に津波情報を発表します。なお、津波の詳細は、気象庁のホームページにも掲載されています。
※気象庁のテスト用電文を元に作成・実際に発生したものではりません
「巨大」「高い」と表記されるケースは、地震においては日本近海で2011年の東北地方太平洋沖地震のようにM8超の巨大地震と判定されたときです。
以下は2011年東北地方太平洋沖地震を現在バージョンに置き換えたもの。
津波の危険性
津波は普通の波とは違い、水の塊として襲ってくるため、巻き込まれたらほぼ確実に命を落とす危険性のある波で、例え数十cmでも普通の人間が巻き込まれてしまえば、凄まじい水の重さによって、足をすくわれてしまい、流されてしまう可能性があります。また、津波は、土砂やがれきなどの色んなものを巻き込んで襲ってくるため、絶対に泳ぐことはできません。中でも東北地方太平洋沖地震で発生した「黒い津波」は、海底に沈殿していたヘドロが混ざっており、普通の津波よりも強い力を持った津波であることも研究で判明しています。
巨大地震が発生したなどの大規模な地殻変動が海底で生じた場合は、内陸から数km以上の地点まで侵入するケースがあり、ある程度海岸から離れていた地点でも、油断できない場合があります。最も危険な代表例としては、津波が川を遡上して襲ってくる河川津波で、東北地方太平洋沖地震では、最大でおよそ50kmの地点まで侵入し、関東地方においても荒川で35kmの地点まで津波が遡上したことが明らかになっています。 つまり、余程の大規模な地殻変動が海底で起きた場合は、例え海岸から数十km程度離れた地点でも、河川に近ければ、危険性が高まるということです。
また、海外で起きた巨大地震などで発生した津波が、日本に襲ってくることもあります。特に有名なのが、1960年チリ地震津波ですが、この地震は世界観測史上最大規模の地震と言われており、その地震の規模はM9.5となっており、東北地方太平洋沖地震を上回っています。この地震によって、遠く離れた日本でも津波が襲い、東北地方では多くの犠牲者を出しました。
特に海外で発生した地学現象による津波は、日本では海外の太平洋側で発生すると、津波を隔てる地形がほとんどなく、長い時間続く特徴もあるため、非常に厄介です。
このこから、気象庁から「大津波警報・津波警報・津波注意報」が発表されたら、揺れていなくても、必ず避難することが重要と言えます。
避難のポイント
(以上の画像は、「photo AC」のフリー素材を使用しています。)
津波の避難際に求められる最も重要なことは、海岸や河口から離れることだけでなく、なるべく頑丈な高い場所に避難することです。また、車での避難は原則厳禁で、自分の足で逃げられる人は、できるだけ乗り物に頼らずに逃げるようにしましょう。また、避難する高い場所でも、最もオススメできるのは、津波避難タワーなでのできるだけ頑丈で開放性の高い構造となっている高い建造物です。その代表例としては、自走式立体駐車場などが挙がり、防災上非常にメリットが多い場所です。さらに、最終手段として、「ライフジャケット」を用意しておくのも手です(研究で、ライフジャケットを着ることで、津波から助かる確率は着用していないときと比較すると、上昇することが判明)。
また、高い津波が想定されている地域では、津波避難経路などの標示があったりする地域もあるため、それを頼りにすると簡単に避難が可能です。
高い場所まで実際に避難する訓練をした方が良いでしょう。そのときただ高い場所まで避難しただけでは意味がありません。なぜなら、地震発生時は訓練のときとは違い、想像以上に避難が過酷になるからです。自身がいる地域のリスク(液状化・土砂の可能性などの地理的要因)を把握すると、パターン化もできるので、いざというときの行動も可能となります。
津波が到達する可能性のある地域によっては、最短で2分など避難にかけられる時間が殆どないと想定されている地域(南海トラフ巨大地震の場合)もあり、津波警報の発表を待っていてはすでに津波が到達している可能性があり、津波に呑み込まれる可能性が高いです。この場合においてはより早い行動ができるようにするために、緊急地震速報の内容も一つの手がかりとして扱い、以下のような条件が揃ったりした場合(特に「※」マークがついている内容が全て一致した場合)、地震情報や津波情報を待たないで即座に避難を開始して下さい。
- 緊急地震速報を受信し、推定される地震の規模がM(マグニチュード)7クラスを超えている ※
- 緊急地震速報を受信し、推定される震源が海底であり、しかも自分がいる場所と震源の位置(または震源域)が非常に近い※
- 緊急地震速報を受信し、推定される震源の深さが浅い(目安としては深さ50~60kmよりも浅ければ津波発生の可能性が高い)※
- 強い揺れの継続時間が長い(1分程度以上続いている)
- 揺れが小さい(震度4~5程度である)にもかかわらず、揺れの継続時間があまりにも長い
- 緊急地震速報の対象地域が拡大している(巨大地震の可能性)
なお、テレビなどで表示される緊急地震速報は、地震の規模や深さまでは表示されませんので、防災アプリを経由して伝達される緊急地震速報・私のライブ配信経由で伝達される緊急地震速報等を利用すると良いかもしれません。
また、人間は稀な巨大災害などに直面すると、「自分は大丈夫だろう」「今までここまで津波が来たことないから、ここは大丈夫だ」などという心理がより強く働く傾向にあることが研究で明らかになっています。このような心理的傾向を心理学では『正常性バイアス』と呼んでいますが、津波などの災害時において、正常性バイアスを誤って扱ってしまうと、確実に命を落とす可能性が高くなりますので、このような心理の存在とバイアスの扱い方もしっかり理解しておくべきです。