地震について

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地震情報を確認する上では、大前提として地震における最低限の知識が必要となります。ここでは、「震度」「マグニチュード」「長周期地震動階級」についても簡潔に解説していきます。

 

地震とは?

地震とは専門的には岩盤が急激にずれ動く現象のことを指しています。地面の割れ目が動くことだと思ってもらえれば結構です。
地震は、震源だけでなく震源域(岩盤がずれ動いた範囲)全体から発生するため、海の浅い場所で大地震が発生した場合は広範囲での津波のリスクが高くなります。
なお、メディアなどが気象庁が定めている震源の地名を「震源地」と表記しているため、一応配信している地震情報も、分かりやすく「震源地」と表記していますが、気象庁は「震源地」ではなく、「震央地名」としています。


 

 

震度とは?

よくテレビやラジオなど「震度6弱を観測したのは…」「震度7を観測したのは…」とよく耳にすることが多いです。このように地震の揺れの大きさを表したものを震度と呼びます。震度は測る場所の数だけ存在してます。

日本で使用されている震度階級は10段階存在しており、これは計測震度というものを四捨五入して使用しています。
計測震度は、加速度の大きさ・揺れの周期・継続時間を元に算出されます。一般的には震度5弱以上を観測し始めると被害が出始めると言われ、震度ごとに各防災機関の初動対応が事前に決められています。

※以上の表は気象庁のリーフレット「その震度 どんなゆれ?」を参考に作成。

このように震度階級は震度7まで存在しています。なので、震度8・震度9などの階級は存在しません(※理由については、こちらの記事を参照してください)。

    

マグニチュードとは?

テレビやラジオなどで「マグニチュードは7.3…」「マグニチュードは9.0…」などとこちらもよく耳にすることが多いです。このように地震そのものの規模(エネルギーの大きさ)を表したものをマグニチュードと呼びます。記号ではMとして表します。マグニチュードは一つの地震に対して一つしか存在しません。

マグニチュードは対数で表現されています。M8の巨大地震とM9の超巨大地震は、一見するとそこまで差がないように感じてしまうが、マグニチュードが0.2上がると約2倍・1上がると31.6倍(約32倍)と桁違いに跳ね上がるため、M9の超巨大地震は、M8の巨大地震が約32回分発生するのと等しいということになります。少し視点を変えて、M7の大地震とM9の超巨大地震を比較してみるとします。この場合は、M2違うということになり、「31.6×31.6=約1000」という計算式になりますので、M9の超巨大地震は、M7の大地震が約1000回分発生するのと等しいということになります。

具体的な計算方法の一つとしては、マグニチュードが1増えると、「(断層の長さ × 3倍) ×(断層の幅 ×3倍)=面積は約10倍」となり、断層がずれ動く長さも約3倍になるので、「面積×ずれ動く長さ=約30倍」という風にエネルギーに違いが出るのです。マグニチュードを表す場合は、対数logを用いた計算式を使用します。

より実感が湧きやすくなるように地震の規模に応じて岩盤がずれ動く距離を目安としてまとめました。以下はあくまでも目安でずれ動く幅・変位量・岩盤の硬さも関係するので、必ずしも記述している通りの距離になるとは限りません(例:令和6年能登半島地震ではM7.6で、震源域はおおむね150kmに達している)。図は東北地方太平洋沖地震の例(大雑把に震源域を表しました)。

マグニチュード(M) 断層破壊の範囲                  
M610kmの距離にわたって断層がずれ動く
M730kmの距離にわたって断層がずれ動く
M8100kmの距離にわたって断層がずれ動く
M9数百~1000km以上の距離にわたって断層がずれ動く(2011年の東北地方太平洋沖地震では、長さ450km・幅200km程度の距離にわたって断層が30m(最大のところでは65m)程度ずれ動いた)

日本における代表的な大地震(各地震についての詳細は後ほど解説予定)。

地震名マグニチュード(M)    内容
東北地方太平洋沖地震     M9.0~9.12011年3月11日14時46分に三陸沖を震源として発生。東日本大震災を引き起こした地震。戦後最悪の震災。東日本を中心に大被害をもたらした。
大正関東地震M7.9~8.11923年9月1日11時58分に神奈川県西部を震源として発生。関東大震災を引き起こした地震。関東南部を中心に大被害をもたらした。10万人超の日本史上最悪の震災を引き起こした地震である。
令和6年能登半島地震M7.62024年1月1日16時10分に石川県能登地方を震源として発生。能登半島を中心に富山や新潟でも被害が出た。
平成28年熊本地震(本震)    M7.32016年4月16日1時25分に熊本県熊本地方を震源として発生。1回目のM6.5の地震の約28時間後に起きた地震である。熊本県を中心に被害が出た。
兵庫県南部地震M7.31995年1月17日5時46分に淡路島(大坂湾)を震源として発生。阪神・淡路大震災を引き起こした地震。兵庫県南部を中心に被害をもたらした。

マグニチュードについても種類があり、気象庁が出す地震の規模の情報は、速報性を重視する気象庁マグニチュード(Mj)・震源断層のずれを考慮した正確な規模を算出できるモーメントマグニチュード(Mw)というものがあり、地震想定ではこちらが使用されます。前者に関してはM8を超えるようなあまりにも巨大な地震になってしまうと、マグニチュードの飽和が発生してしまい、M8程度で頭打ちになってしまうため、正確な規模を算出することができません。そのため現在は、東北地方太平洋沖地震のようなあまりにも大きい地震が海底で発生した場合、速報段階では「M8を超える巨大地震」と発表し、具体的な津波の高さは表記せずに津波情報を発表します。そして、地震発生後(15分経過後が目安)くらいにはモーメントマグニチュードを利用した津波情報に切り替わるようになっています。ただ、モーメントマグニチュードにも当然欠点があります。それは、算出に時間がかかることです。時間がかかるとは言っても最大で20分程度ですが、そうなると今度は津波警報を出すまでかなりの時間を要してしまいます。事実、地震が発生した場所が陸から非常に近ければ数分、早ければ1分程度で到達した事例もありますので、モーメントマグニチュードで計算をしていては意味をなしません。だから、速報段階では上記のような地震波の最大振幅から求めることができる気象庁マグニチュードを用いた方がいち早く津波情報を出せるのです。

なお、M7クラスの地震は日本ではある特定の領域に限定しなければ、おおむね「数年に1回」程度、M8程度の地震であれば「十~数十年に1回」の割合で発生します。また、後ほど解説しようかと思いますが、理論上、地球上で起きる地震の規模は最大M10程度とされており、M12になると地球が真っ二つになるとされています。

 

長周期地震動・長周期地震動階級とは?

気象庁は、2023年から緊急地震速報の発表対象に入れ、テレビなどでもある程度の規模の大きな地震が発生すると、長周期地震動を地震速報の発表対象に入れるようにしました。長周期地震動についても解説します。

長周期地震動とは、固有周期(建物が揺れやすい周期)が2秒から7~8秒程度の揺れが生じる高層階における揺れで、文字通り周期(揺れが1往復するのにかかる時間)の長い揺れのことを指すのです。特に高層建築物は周期が2秒程度を超える地震動と相性が良く、高層建築物の揺れやすい周期と一致すると大きい揺れを起こします。

ある程度の大きな地震になると発生しやくなります。

長周期地震動は、震源が浅く、ある程度マグニチュードの大きい地震になると、長周期地震動が発生し始めます。

長周期地震動は、通常の地震動よりも遠くまで伝播しやすいのが特徴で、大きく揺れだすまである程度の猶予があります。


なお、建物で被害が大きく異なってるのは、多くの人は「日本は昔と現在では耐震性が違うから」と答える人が多いかもしれませんが、実は揺れによる周期も密接に関係しています。特に高層ビルなどの高い建造物では、長周期における地震波と共振しやすいため、長周期地震動による被害を受けやすいのです。なお、上記で説明している「震度」は主に短い周期での揺れを元に算出しており、長周期地震動に関しては一切考慮されていないため、高い建造物の揺れの大きさを正確に反映することはできません。

また、長周期地震動階級は、高層階の揺れに相当する振り子の揺れ(絶対速度応答波形)を地表の揺れから計算し、振り子の揺れの最大値を周期に対してプロットした絶対速度応答スペクトル Svaを用いています。

長周期地震動については、動画でも解説しています=>高層建築物で発生する揺れ「長周期地震動」!

出典:気象庁(長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について)