予言などの話は、毎年必ず広まっていることなので、別に気には止めていなかったのですが、そのような情報に惑わされる人も多くいるようなので、ここで予知が不可能な理由について解説しておきたいと思います。
先にご理解頂きたいのは、現段階での科学力で地震予知は不可能とされているということです。
そもそも、地震の予知と予測は何が違うのでしょうか?
地震予知 | 地震の発生場所、地震の規模、地震発生時刻の三大要素を正確に予測する事を言います。(例:「20××年〇〇時〇〇分に、東京都でM8程度の地震が起きる」など) |
地震予測 | 地震の予測は上記の予知とは違い、非常にあいまいです。地震の予測には短期的な予測、長期的な予測の2種類あり、現在ある程度可能となっているのは後者の長期的な予測の方です。長期的な予測の例としては、政府が出す「ある特定の領域における大地震の発生周期を元に算出するある一定期間内の地震発生確率(「今後30年以内に〇〇%」というのが例)」等が挙げられます。前者の短期的な予測については、研究が進展しているものもいくつかありますが、現在のところ実用化は不可能と言っても良いと思います(例:電離層を用いた予測など)。 |
このように予知と予測は同じような意味ではあるもののの違いがあります。
地震を予知する上で「半年以内に日本でM5程度以上の地震が発生する」などの予測では防災としてはあまり意味がありません。なぜならこの場合、日本ではM5程度以上の地震は、1ヶ月に数回程度の頻度で起きますので、このような予測を毎週必ず1回すれば高確率で当たることになります。また、日本では現在M5程度の規模で被害地震になることはそうそうありません。
なので、地震予知をするには必ず大地震と言える規模(目安はM6-7以上)の地震で、範囲はなるべく都道府県単位に、時間は短期間(目安は長くても1週間程度)に絞って設定する必要があります。
しかし、そのような精度の高い予知は、現在のところ困難で、成功した事例はありません。
また、地震予知には指定した地震予知と実際に発生した地震の予知成功の定義が曖昧になりやすいという問題もあります。
例えば、「M7程度の地震が、1週間以内に東北地方で起きる」と予知したとします。そして結果的に、予知情報から数日後に福島県寄りの茨城県沖でM6.8の地震が発生しました。
これを聞くと予知成功でもいいのではないかと思ってしまいます。しかし、予知情報に問題があるのは発生場所です。予知情報は東北地方となっていますので、本来ならこの場合は予知成功とは言えないのです。
このようにどんどん予知成功・失敗の定義が曖昧になっていきます。
これらが予知不可能な理由です。
他にも人工地震などの根拠不明な情報は多くあり、「〇月×日に巨大地震が発生する」などのデマ情報は多く溢れていますので、そのような情報に惑わされないように、情報の真偽を自分で判断できる力が必要です。
なお、当配信が出している情報は、現段階での地震活動の推移の状況から特にリスクが高くなっている領域について評価し、今後の可能性と起こりうるリスク、過去の地震などについて解説しているだけで、予知や予測を目的とした情報ではありません。
後は、この情報を防災にどう活かすか重要となります。