2025年5月21日現在の地震活動の状況と今後の可能性についてお知らせします。
この情報は地震を予知することを目的として出している情報ではありません(地震の予測と予知の違いについてはこちらを参照)。また、出している情報以外の領域でも大地震が発生する可能性があることを前提に参照して下さい。
最新の地震活動の状態
福島県沖で地震活動が上昇傾向になっていて、気になる活動域があります。
山口県北部の領域では変わらず群発化している状態で、さらに1日あたりの発生回数が上昇傾向となっています。
その他の地域では、特別異常と言える変化はありませんんでした。
長野県北部の地震活動は徐々に平常時に戻りつつあり、大分県中部の地震活動は収束傾向です。陸奥湾及び福島県会津も長期的にはほぼ平常時の状態に戻っています。
宮城県・福島県沖の領域 | 上昇傾向(中・長期的) |
岩手県南部(宮城県寄り) | 特に異常はないが、活発化した状態(長期的) |
福島県会津(群馬県寄り) | 特に異常はないが、活発化した状態(長期的) |
神奈川県の領域 | 特に異常はないが、平常時よりは活発化している状態(長期的) |
石川県西方沖及び能登半島地震の震源域 | かなり減少傾向したが、まだ活発化状態(長期的) |
兵庫県南西部 | 減少傾向 |
山口県北部 | 異常な活発化状態で、再び活動度が上昇中(中・長期的) |
有明海 | 特に変化なし |
日向灘 | 特に変化なし |
種子島南東沖 | 特に異常はないが、上昇傾向(中・長期的) |
奄美大島近海 | 特に異常はないが、中・長期的には緩やかな上昇傾向(中・長期的) |
地図
地震活動の状態を、色別に分けたものです。
- 紫色は、要警戒(現在異常な状態となっている領域)
- 赤色は、警戒
- 黄色は、注意
北海道・青森付近

特に異常がある領域はありません。
東北地方

宮城県及び福島県沖で活動度が上昇傾向にあります。中でも福島県沖では浅い領域での活動度が上昇していましたので、念のため警戒を引き上げました
福島県会津では、1月の地震以降、活発化している状態が続いていましたが、現在は減少傾向にあります。
関東地方

特に異常はありません。
茨城県北部の領域では長期的に活発化状態となっています。また、長期的には神奈川県の領域でも活発化している状態を確認しました。
北陸地方

2024年能登半島地震以降、周辺で地震活動が活発化している状態です。
詳細は、以下の『2024年能登半島地震後の能登半島付近における地震活動について』についてをご覧ください。
中部地方

長野県での地震活動は順調に減少傾向で、特別異常と言える変化はありません。
近畿・中国・四国地方


山口県北部の領域では、長期的な意味で考慮した上で、警戒度を引き下げていますが、危険度が下がったという意味ではないので、注意して下さい
山口県では赤色の領域で、3月頃から地震活動が活発化しています。
この領域では、震源の移動を繰り返しながら活発化し、震源も段々浅くなってきていて、危険度が現在高い領域となっています。
最新の中・長期的な推移を解析した結果、震源が徐々に北側に移動し、活動域が海側に向かうように移動している様子を確認し、中旬あたりから1日当たりの発生回数が100回以上となる日が多くなっていることが分かりました。また、地震の規模は依然はM1以下の地震ばかりでしたが、M2クラスの地震も発生するようになり、最大規模も徐々に大きくなってきていることも分かりました。
活発化している領域周辺には、地福断層・大原湖断層などM7クラスの地震を引き起こす可能性のある活断層も存在していて、中には能登半島地震と同様にM7.5程度の地震を引き起こす可能性のある活断層もあります。
さらに過去の活動歴が無い活断層も存在しているのですが、その活断層は言い換えれば長年ひずみが溜め込まれている可能性があるとも言えますので、むしろ大地震が起きないとは言えません。
現段階で発生している地震は微小地震ばかりで、ただちに大地震に発展する可能性は低いですが、全体的には活発化や静穏化を繰り返していて、異常な推移となっています。
今後の推移次第で能登半島のように平常時とは異なる地殻変動が観測されるなどの異変も現れた場合、さらに一段と大地震に繋がる可能性はいつも以上に高くなりますので、今後の情報にも注意です。
九州地方

大分県中部の地震活動はほぼ収束しています。
熊本地震以降、日奈久断層帯を中心に活発化していて、特に割れ残りとなっているエリアで長期的には活発化している状態となっています。
他にも日向灘の領域で、去年にM7.1の大地震、今年の1月にもM6.6の地震が発生していて、本格的に長期的な活動期に入ったと推定されます。今後、しばらくの間は長期的な意味で大地震が発生する可能性があるので注意です。
奄美・沖縄地方

特に異常と言える場所はありませんが、奄美大島近海や種子島の沖では長期的には上昇傾向となっています。
2024年能登半島地震後の能登半島付近における地震活動について

能登半島地震の震源域 | 全体的な活動度は緩やかな減少傾向になり、現在は特に大きな変化はないが、地震の影響で活発化している状態 |
石川県西方沖 | 能登半島地震後の影響を受けて活動的になり、さらに11月の地震後、普段の状態と比較すると活発化している状態 特に変化なし |
佐渡付近 | 特に変化なし |
短期的には特別はなく、震源域付近では長期的には減少に向かっています。
能登半島地震以降、現在までの活動度は緩やかな減少傾向となっていましたが、現在上昇傾向に転じていたことが明らかになりました。能登半島地震の影響で北陸などの中部地方を中心に、北西や北方向に大きく変動しました。その影響により、各地で地震活動が活発化しだした領域も確認されているため、注意が必要です。事実、既に去年11月に石川県西方沖でM6クラスの大地震も発生していることが証拠です。