2025年5月10日現在の地震活動の状況と今後の可能性についてお知らせします。
この情報は地震を予知することを目的として出している情報ではありません(地震の予測と予知の違いについてはこちらを参照)。また、出している情報以外の領域でも大地震が発生する可能性があることを前提に参照して下さい。
最新の地震活動の状態
山口県の地震活動で、震源が移動していることが分かりました。
石川県西方沖での地震活動に変化があります。
その他の地域では、特別異常と言える変化はありません。長野県の地震活動も徐々に減少しています。
陸奥湾 | 現在は減少したが、平常時よりは活発化している状態(長期的) |
宮城県・福島県沖の領域 | やや上昇傾向(中期的) |
岩手県南部(宮城県寄り) | 減少傾向(中期的) |
福島県会津(群馬県寄り) | 横ばい状態でほぼ通常通りに戻ったが、再びやや上昇傾向(長期的には活発化状態) |
神奈川県の領域 | 異常はないが、平常時よりは活発化している状態(長期的) |
石川県西方沖及び能登半島地震の震源域 | 活発化状態(長期的) |
長野県北部・中部 | 減少傾向だが、依然として活発化状態 |
兵庫県南西部 | 活発化傾向 |
山口県北部 | 異常な活発化状態で、再び活動度が上昇中(中・長期的) |
大分県中部 | 特に異常はないが、中期的にはやや活発化状態 |
有明海 | 減少傾向だが、長期的にはやや活発化状態 |
日向灘 | 中期的に上昇傾向 |
奄美大島近海 | 特に異常はないが、やや活発化状態(中・長期的) |
地図
地震活動の状態を、色別に分けたものです。
- 紫色は、要警戒(現在異常な状態となっている領域)
- 赤色は、警戒
- 黄色は、注意
北海道・青森付近

特に異常はないですが、陸奥湾の領域では去年の11月以降に活発化している状態となっています。
東北地方

宮城県及び福島県沖でやや活動度が上昇傾向にあります。
福島県会津では、1月の地震以降、活発化している状態が続いています。
アウターライズ領域で微小地震の活動が活発化していましたが、収束しました。ただ、2011年東北地方太平洋沖地震以降、危険視されている領域ですので、中・長期的には注意が必要です。
関東地方

茨城県北部の領域では長期的に活発化状態となっています。また、長期的には神奈川県の領域でも活発化している状態を確認したため、追加しました。
北陸地方

2024年能登半島地震以降、周辺で地震活動が活発化している状態です。
詳細は、以下の『2024年能登半島地震後の能登半島付近における地震活動について』についてをご覧ください。
中部地方


長野県での地震活動は順調に減少傾向となっています。ただ、4月18日の地震以降より危険度が高くなっている状態であることは変わりません。
活動域近辺には糸魚川−静岡構造線断層帯という大断層帯が存在しています。
この領域は、活動域近辺には糸魚川−静岡構造線断層帯という大断層帯が存在していて、この領域はフォッサマグナのちょうど境界部に位置しています。なお、フォッサマグナは日本列島がアジア大陸から離れる日本海形成時の過程で、前に海底に溜まった新しい地層によって埋め立てられた地形です。日本海で大地震が発生後にユーラシアプレートと北米プレートの境界とも考えられていますが、具体的な証拠はなく分かっていない未知な部分が多くあります。
糸魚川-静岡構造線断層帯では1000年程度以前に活動した可能性が指摘されていて、何れもM7.5程度以上の大地震を引き起こす可能性のある活断層が存在しています。この断層帯全体が活動した場合、最大M7.8-8.1に達し、能登半島地震よりも大きな地震を引き起こす可能性もゼロではありません。そのため、非常に危険な活断層と言えます。
今回の地震のメカニズムは北西-南東方向に圧力軸を持つ横ずれ型の地震と推定され、活動域となっている領域も考慮すると、糸魚川-静岡構造線断層帯と関連している可能性は否定できないかと思います。
近畿・中国・四国地方


兵庫県南西部での活動が少し気になりましたので、「注意」として追加しました。
山口県では紫色の領域で、3月頃から地震活動が活発化しています。
この領域では、震源の移動を繰り返しながら活発化し、震源も段々浅くなってきていて、危険度が現在高い領域となっています。
微小地震は、明らかな異常と判断できる推移となっている状態となっていますので、注意が必要です。
最新の中・長期的な推移を解析した結果、震源が徐々に北側に移動し、活動域が海側に向かうように移動している様子を確認しました。
活発化している領域周辺には、地福断層・大原湖断層などM7クラスの地震を引き起こす可能性のある活断層も存在していて、中には能登半島地震と同様にM7.5程度の地震を引き起こす可能性のある活断層もあります。
さらに過去の活動歴が無い活断層も存在しているのですが、その活断層は言い換えれば長年ひずみが溜め込まれている可能性があるとも言えますので、むしろ大地震が起きないとは言えません。
現段階ではただちに大地震に発展する可能性は低いですが、全体的には活発化や静穏化を繰り返していて、異常な推移となっています。
今後の推移次第で能登半島のように平常時とは異なる地殻変動が観測されるなどの異変も現れた場合、さらに一段と大地震に繋がる可能性はいつも以上に高くなりますので、今後の情報にも注意です。
九州地方

大分県中部の別府湾付近の内陸部で地震活動は減少はしましたが、まだやや活発化している状態です。
熊本地震以降、日奈久断層帯を中心に活発化していて、特に割れ残りとなっているエリアで長期的には活発化している状態となっています。
他にも日向灘の領域で、去年にM7.1の大地震、今年の1月にもM6.6の地震が発生していて、本格的に長期的な活動期に入ったと推定されます。今後、しばらくの間は長期的な意味で大地震が発生する可能性があるので注意です。
奄美・沖縄地方

種子島近海で一時活発化している状態が続きましたが、現在は収束傾向です。
特に異常と言える場所はありませんが、奄美大島近海は長期的には活発化状態となっています。
2024年能登半島地震後の能登半島付近における地震活動について

能登半島地震の震源域 | 全体的な活動度は緩やかな減少傾向になり、現在は特に大きな変化はないが、地震の影響で活発化している状態 |
石川県西方沖 | 能登半島地震後の影響を受けて活動的になり、さらに11月の地震後、普段の状態と比較すると活発化している状態 減少傾向だが、再び活発化 |
佐渡付近 | 特に変化なし |
石川県西方沖で5月9日にM4.2の地震が発生した後、活発化している様子が見受けられます。
能登半島地震以降、現在までの活動度は緩やかな減少傾向となっていましたが、現在上昇傾向に転じていたことが明らかになりました。能登半島地震の影響で北陸などの中部地方を中心に、北西や北方向に大きく変動しました。その影響により、各地で地震活動が活発化しだした領域も確認されているため、注意が必要です。事実、既に去年11月に石川県西方沖でM6クラスの大地震も発生していることが証拠です。