2025年4月25日現在の地震活動の状況と今後の可能性についてお知らせします。
最新の地震活動の状態
長野県北部及び山口県北部の領域では、現在も明らかに異常と言えるほどの活発化している状態となっていますが、段々減少傾向になっています。
一方で岩手・宮城県のはるか沖にあるアウターライズ領域で地震活動が異常に活発化していることを確認しました。
陸奥湾 | 現在はさらに減少したが、平常時よりは活発化している状態(長期的) |
岩手・宮城県のはるか沖のアウターライズ領域 | 急上昇し、異常な活発化状態 |
岩手県南部(宮城県寄り) | 減少傾向(中期的) |
福島県会津(群馬県寄り) | 横ばい状態で、長期的には活発化状態 |
石川県西方沖及び能登半島地震の震源域 | 活発化状態(長期的) |
長野県北部・中部 | 減少傾向だが、依然として活発化状態 |
山口県北部 | 減少傾向だが、まだ異常な活発化状態(中期的) |
大分県中部 | ほぼ収束したが、中期的にはやや活発化傾向 |
有明海 | 減少傾向 |
奄美大島付近 | 特に異常はないが、やや活発化状態(中期的) |
地図
地震活動の状態を、色別に分けたものです。以下の情報は参考程度に留めてください。
- 紫色は、要警戒(現在異常な状態となっている領域)
- 赤色は、警戒
- 黄色は、注意
北海道・青森付近

特に異常はないですが、陸奥湾の領域では去年の11月以降に活発化している状態となっています。
東北地方

福島県会津では、1月の地震以降、活発化している状態が続いています。
アウターライズ領域で微小地震の活動が活発化しています。
活発化している領域も含めて、東北地方太平洋沖地震以降、周辺では地震活動が活発化していて、大地震の可能性が危惧されている領域となっています。
アウターライズとは、プレートが沈み込む手前の少し隆起した地形のことで、海溝外縁隆起帯とも呼ばれています。アウターライズ地震はプレート間地震との関連が指摘されていて、この領域では東北地方太平洋沖地震の一つ前のプレート間地震である明治三陸地震(1896年)が発生した37年程度が経過した後に、今度はその海溝の外側で昭和三陸地震(1933年)が発生しました。1933年の地震でも大津波が発生しましたが、震源が陸からかなり離れていて揺れはそれほど大きくありませんでした。
2011年に発生した東北地方太平洋沖地震はM9.0という超巨大地震でしたので、今後アウターライズで発生する地震は最大M8.5程度の地震が発生する可能性もあり、注意が必要です。アウターライズで地震が発生した場合は、最大でも震度5弱~5強程度かと予想されるので、震度7を観測した東北地方太平洋沖地震より揺れが小さいからといっても、地震の規模が大きくM8程度でも大津波を発生させる特徴がありますので、油断することはできません。
関東地方

茨城県北部の領域では長期的に活発化状態となっています。
北陸地方

2024年能登半島地震以降、周辺で地震活動が活発化している状態です。
詳細は、以下の『2024年能登半島地震後の能登半島付近における地震活動について』についてをご覧ください。
中部地方


長野県では震度5弱を観測した地震以降より危険度が高くなっている状態です。警戒度は「警戒」に引き下げました。
活動域近辺には糸魚川−静岡構造線断層帯という大断層帯が存在しています。この領域は、日本海で大地震が発生後にユーラシアプレートと北米プレートの境界とも考えらえれいますが、具体的な証拠はなく分かっていない未知な部分が多くあります。
糸魚川-静岡構造線断層帯では1000年程度以前に活動した可能性が指摘されていて、何れもM7.5程度以上の大地震を引き起こす可能性のある活断層が存在しています。この断層帯全体が活動した場合、最大M7.8-8.1に達し、能登半島地震よりも大きな地震を引き起こす可能性もゼロではありません。そのため、非常に危険な活断層と言えます。
今回の地震のメカニズムは北西-南東方向に圧力軸を持つ横ずれ型の地震と推定され、活動域となっている領域も考慮すると、糸魚川-静岡構造線断層帯と関連している可能性は否定できないかと思います。
現在の地震活動は全体的には減少傾向となっていますが、北西-南東方向に延びていて異常な活発化が確認できるため、暫くの間中規模以上の地震の発生には注意が必要です。
近畿・中国・四国地方


山口県では紫色の領域で、3月頃から地震活動が活発化しています。
この領域では、震源の移動を繰り返しながら活発化し、震源も段々浅くなってきていて、危険度が現在高い領域となっています。
微小地震は、明らかな異常と判断できる推移となっている状態となっていますので、注意が必要です。
活発化している領域周辺には、地福断層・大原湖断層などM7クラスの地震を引き起こす可能性のある活断層も存在していて、中には能登半島地震と同様にM7.5程度の地震を引き起こす可能性のある活断層もあります。
さらに過去の活動歴が無い活断層も存在しているのですが、その活断層は言い換えれば長年ひずみが溜め込まれている可能性があるとも言えますので、むしろ大地震が起きないとは言えません。
現段階ではただちに大地震に発展する可能性は低く、全体的には減少傾向となっていますので、このまま収束していけば問題はないかと思います。
今後の推移次第で能登半島のように平常時とは異なる地殻変動が観測されるなどの異変も現れた場合、さらに一段と大地震に繋がる可能性はいつも以上に高くなりますので、今後の情報にも注意です。
九州地方

大分県中部の別府湾付近の内陸部で地震活動が活発化しています。
熊本地震以降、日奈久断層帯を中心に活発化していて、特に割れ残りとなっているエリアで長期的には活発化している状態となっています。
他にも日向灘の領域で、去年にM7.1の大地震、今年の1月にもM6.6の地震が発生していて、本格的に長期的な活動期に入ったと推定されます。今後、しばらくの間は長期的な意味で大地震が発生する可能性があるので注意です。
奄美・沖縄地方

奄美大島付近で続いていた地震活動は、ほぼ収束した状態となっていますが、中期的には活発化状態となっています。
2024年能登半島地震後の能登半島付近における地震活動について

能登半島地震の震源域 | 全体的な活動度は緩やかな減少傾向になり、現在は特に大きな変化はないが、地震の影響で活発化している状態 |
石川県西方沖 | 能登半島地震後の影響を受けて活動的になり、さらに11月の地震後、普段の状態と比較すると活発化している状態 現在は減少傾向 |
佐渡付近 | 減少し、特に変化なし |
能登半島地震以降、現在までの活動度は緩やかな減少傾向となっていましたが、現在上昇傾向に転じていたことが明らかになりました。能登半島地震の影響で北陸などの中部地方を中心に、北西や北方向に大きく変動しました。その影響により、各地で地震活動が活発化しだした領域も確認されているため、注意が必要です。事実、既に去年11月に石川県西方沖でM6クラスの大地震も発生していることが証拠です。