近年、日本では地震・豪雨・台風などによって大災害が相次いで発生しています。
また、近年の災害では、大正関東地震(M7.9~8.1)が引き起こした関東大震災の死者・行方不明者数が約10万5000人・兵庫県南部地震(M7.3)が引き起こした阪神・淡路大震災の死者・行方不明者数は6437人、東北地方太平洋沖地震(M9.0)が引き起こした東日本大震災の死者・行方不明者数は約2万2000人など、大被害を起こす災害が発生しています。
このように被害を大きくしてしまう根本的な要因となっているのは、正常性バイアスなのですが、今回はそれを以下で解説していこうと思います。
正常性バイアスとは?
「正常性バイアス」とは、危険な状況であっても、それは都合の悪い情報であるため、無視して「日常のこと」として処理してしまう人間の心理の事を言います。例を挙げるとするなら、
- 気象庁から大津波警報・津波警報が発令されているにもかかわらず、「今までここまで津波はきたことないから今回もこないだろう」などと思い込み、避難行動を全くとらない
- 「これまで災害を経験したことはなかったから」という理由で、避難行動を全くとらない
- 「専門家が大丈夫だろう」と言っていたから、安心してしまっている
等であり、このように人間の心理上、災害時においてはこの心理がより顕著に働くようになり、安心したときに大災害がやってくるのです。そもそも自然現象については、地球の時間軸では数~数十年という単位はほんの瞬きに過ぎず、人間の時間軸で考慮できるものではありませんし、自然現象は私たちの想像を遥かに超えてきますので、「人間が思っていること」とは違うということを認識する必要があります。
幾ら避難タワーの建設などの物理的な対策が進んでいたとしても、人間が行動しなければ意味がありませんし、正常性バイアスには誰もが陥る可能性がある以上、そのことを理解しておかなければ、また同じ過ちを繰り返すことになるのです。
実際に東北地方太平洋沖地震でもこのような心理現象は、顕著に現れており、それが被害を大きくしたことも根本的な要因の一つとも言われています。
今後も大災害が発生した場合、「まさかこんなところで起きるとは思わなかった」などとコメントする人が多く出てくるでしょう。
正常性バイアスによる被害の例
正常性バイアスによって大被害に繋がる災害は数多くあるため、ここでは中でも代表的な災害を紹介します。その災害の例は、
- 韓国で発生した大邱(テグ)の地下鉄火災
- 東北地方太平洋沖地震
等が挙がり、もちろん他の災害においても正常性バイアスはより顕著に現れています。このように人が都合の悪い事象が起きた場合、それを無視しようとする心理がより強く働くことで大災害に発展した例が幾つもあるのです。