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ここでは、震度について多くの人が思っている疑問について解説します。
その前に簡単に震度について触れておきます。
日本では、気象庁の震度階級というもが使用されており、「震度0・震度1・震度2・震度3・震度4・震度5弱・震度5強・震度6弱・震度6強・震度7」という10段階に分けられています。
震度については、別記事で解説していますので、詳細を知りたい方は、こちらを参照してください。
「震度5」「震度6」だけが 「弱・強」がついている疑問・「震度7」の疑問
地震情報を見ている人は、「なぜ震度5と6だけが、震度5弱・5強・6弱・6強と少し分かりにくく表現しているのか?」と疑問に思った人も多いかもしれません。なので、こちらについても解説します。
震度5と6に「弱・強」に分けた理由は、阪神・淡路大震災における被害がきっかけとなっています。
実際に、阪神・淡路大震災では現地調査の結果、同じ震度5や6の地域でも、被害の程度に大きな差が生じていることが判明しました。そこで被害の大きさを反映させるために、計測震度4.5以上5.0未満を「震度5弱」・5.0以上5.5未満を「震度5強」・5.5以上6.0未満を「震度6弱」・6.0以上6.5未満を「震度6強」と細分化することにしたのです。
「震度7」は1948年に発生した福井地震を受けて、1949年に導入されました。
計測震度計導入前は体感や周囲の状況で震度を決めていて、震度7については現地調査で決定するものとしていましたが、阪神・淡路大震災を受けて見なしが行われ、震度計で計測震度6.5以上を観測した場合に「震度7」と判定するようにしています。
震度8以上が存在しないのはなぜ?
地震に対して豊富な知識を持っている人は、震度8以上が存在しないことについては、既にご存じかもしれませんが、関心の無い人たちなどは、中には震度8以上も存在すると思い込んでいる人も多くいます。では、なぜ震度8以上が存在しないのでしょうか。その理由については、
- 震度7より大きい揺れ(計測震度7.5以上)を観測した例が一度もない
- 震度8以上を作っても、メリットがない
の2つが挙げられています。
実際に計測震度計で震度7を観測したことのある地震は、以下の通りである。
発生年 | 地震名(マグニチュード) | 震災名 | 計測震度 |
1995年 | 兵庫県南部地震(M7.3) | 阪神・淡路大震災 | 6.6(強震計) |
2004年 | 新潟県中越地震(M6.8) | 6.5 | |
2011年 | 東北地方太平洋沖地震(M9.0) | 東日本大震災 | 6.6 |
2016年 | 熊本地震(M7.3) | 6.7 | |
2018年 | 北海道胆振東部地震(M6.7) | 6.5 | |
2024年 | 能登半島地震(M7.6) | 6.6 |
以上のように、何れも観測されている最大震度は、震度8となる計測震度7.5以上には程遠く、現状観測されたことのある最大の計測震度は6.7であり、震度8に相当する揺れは一度も観測されたことがないことが分かります。また、仮に震度8が存在しても、計測震度7.5以上を観測しなければ使用することはありませんし、震度8以上に相当する揺れは、地球上では余程スケールの大きい未知の震動現象が起きない限りは基本的に発生し得ません。
また、もう一つの理由としては、震度8以上を作っても意味がないことです。震度については計測震度の他にも、ある程度の目安となる被害状況の推定としても扱われています。震度5弱以上であれば何らかの被害が生じている可能性があることくらいはメージできますし、最大の震度である7であれば、防災上では最大級の対応とることとなっています。そのため、震度8以上を作ったところで、あまりメリットがありません。
海外で扱わている震度階級
日本のテレビなどで報じれられる震度階級は、気象庁の震度階級というものが使用されていますが、海外では別の震度階級が扱われています。最も代表的なのが、「メルカリ震度階級」というもので、気象庁の震度階級よりも少し多い階級となっています。なお、以下は改正メルカリ震度階級の目安を示していますが、この震度階級は計測震度を元に算出されたものではなく、被害状況から算出された震度であるため、数学的な根拠がありません。なので、気象庁が定めている震度階級と容易に比較することはできませんし、それが耐震性の高い建物も多い日本では尚更です。

2011年に東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震のメルカリ震度階級では、IX相当(震度7に相当する揺れ)となっています。
また、台湾では日本の気象庁震度階級と同じ震度階級を使用しています。